公立保育園を選ぶデメリットについて。

前回は公立保育園の良いところを書きましたが、今回は悪いところを書きたいと思います。

ただ、注意していただきたいのは、今から記載することはすべての園に該当するわけではありません。自治体によってはこの問題を解消すべく力を入れているところもあります。
『公立保育園はこういうものだ!』と決めてしまうのではなく、あくまで参考にして、保育園見学等を通してご自身の目で確かめてください。


前置きが長くなってしまいましたが、公立保育園のデメリットについてお話したいと思います。

デメリットの1 職員の異動が多い。

これは、公立保育園というよりも公務員の特色ですが、癒着等を防ぐため公務員は3〜6年周期で異動があります。
そのため、その園で長く働いている職員という方は少なくなります。
零歳から見てもらっている先生は、卒園前に異動するケースがほとんどです。
ちょっと、淋しいですよね。

デメリットの2 園の特色が薄い。

これは、前述の異動が多いことと、運営方針が市区町村で一括して決められていることが原因として挙げられます。
つまり、保育士が『こんなイベントをしたい!』と言っても、すべての園で行えるイベントでなければ行えないのがほとんどです。
私立園で行われている『宿泊保育』や『料理保育』『登山遠足』『音楽発表会』など、園の特色を生かしたイベントというのはほぼありません。
子どもにとって『楽しいこと』は多い方が、私は良いと思うんですけれどね。

デメリットの3 保育士の向上心が低い傾向にある。

これは、前述の運営方針が決められていることが原因として挙げられます。
つまり、『子どものためにこういうことをしたい!』と思っても実行できない状況化で、だんだんと意欲が失われてしまうケース。
それから、運営方針に沿って保育をしていれば給与や賞与が保障されているので、マニュアル保育となるケースです。
そのため、職員の効率性や柔軟性といったものが育ちにくい傾向にあります。

デメリットの4 規格外を嫌う。

そもそも私は保育における『規格外』という言葉、嫌いです。
公立保育園では、保育時間が厳密に決められていますから、延長保育制度の導入が遅れています。
他の子たちと一緒に保育しますから、障がい児や具合の悪い子の受け入れを拒否します。
また、少しでも『やんちゃ』な子がいると問題児扱いし、障がい児の申請等を保護者に促します。
保育スケジュールがしっかり決まっていますから、一時保育など制度の導入が遅れています。
日々の変化が激しく、体調も安定しないので零歳児の受け入れを行っている公立保育園が少ないです。産休明けの43日から受け入れている公立保育園はほとんどなく、3ヶ月や6ヶ月からの受け入れがほとんどです。


ちょっと話が脱線しますが、延長保育などのサービスは世の中のニーズに合わせて私立やNPOなどが独自で行い、補助金の制度ができ、公立で行う、という後追いの状態です。
ちなみに、現在の補助金の制度だと、障がい児保育、一時保育、病児・病後児保育を私立保育園で行うと確実に赤字になります。(何故赤字になるかはまた後日)
しかし、前述の通り障がい児や病児は公立保育園では拒否されます。
うちの園にも、近くに公立保育園が何園もあるのにすべて拒否され、たらい回しにされて泣きながら入園できないかと相談に来たお母さんがいます。今は、その子もお母さんも、うちの園に毎日笑顔で登園していますが、そのときは心中でもしかねない状態だったと園長は言っていました。
保育所は、子どもの保育ばかり重要視されがちですが、保護者の育児の手助けをするのも保育所の仕事です。
悲しいことですが、この認識がしっかりできている保育士は少ないのが現状です。

デメリットの5 非正規職員が多い。

…びっくりしました?意外ですよね。
公立はしっかりと正規の職員を雇用しているイメージがありますよね。
実は、平成16年に行われた国基準運営費の一般財源化により、財政難の地方自治体では公立保育所運営費が加速的に削られ始めました。
しかし、既にいる公務員の保育士の給与は下げられず、メリットのときに書いた職員配置数も減らすことはできません。
結果、数合わせのためのパートや契約の職員が多く雇用されています。
現状、臨時職員・派遣・短時間勤務の保育士は私立保育園より多い自治体がほとんどです。
非正規の保育士は給与が極端に安く、しかしながら仕事内容は正規と変わらない園がほとんどで、保育士のモチベーションもどんどん下がり、それはやはり保育に対する姿勢にも影響が出ます。
また、公務員ですから正規登用されることもありません。
せっかく人数が多くても、質が悪いのであれば逆にデメリットになってしまいますよね。


細かい話をするとまだまだあるのですが、大きなデメリットとしてはこの5つが挙げられます。


最初にも書きましたが、上記のことはすべての園に該当するわけではありません。
自治体によっては私立より力を入れている市区町村もあります。
必ず、自分の目で見極めてみてください。


次回は、公立保育園のもうひとつの姿、『公設民営保育園』についてお話したいと思います。
でわでわ。