私立保育園の運営ついて

前回まで公立保育園のお話をしてきましたが、今度は私立保育園についてお話しようと思います。

運営している法人について

私立の認可保育園は、そのほとんどが社会福祉法人NPO団体です。財団法人や個人立の園もいくつかあります。最近では株式会社が参入しているケースもあります。
社会福祉法人NPO団体などの『公益法人』と呼ばれる法人は、営利を目的とした団体ではない非営利団体です。子どもたちの健全な成長の促進や保護者のケア、地域の活性化など公的機関と同様の性質を持っています。
一方、株式会社はご存じの通り営利団体です。そのため、多くの自治体が株式会社の参入を拒否している傾向にあります。
実は少々誤解があり、認可保育園の運営は株式会社だろうと何だろうと、施設ごとに会計区分を設けなければいけないと定められているため、株主配当等に運営資金を回すことはできません。
ただ、社会福祉法人の運営主体は地域密着型なのに対し、株式会社は本部による一括運営になりがちなため、施設の独自性や地域性に乏しい面があります。

運営費について

公私問わず、認可保育園の運営費は国・都道府県・市町村からの補助金で運営費を賄っています。

補助金の額は、1つは在園している児童数で決定します。
ただし、公立保育園は年度始めの児童数で補助金の額が決定しますが、私立は毎月の児童数で計算します。
つまり、年度途中に退園・転園した場合に、公立は収入が減りませんが、私立は収入が減ります。そのため、私立は公立より職員数が少ない園がほとんどです。
また、人件費に運営費を奪われ、施設の修繕や備品の購入もままならない園も多々あります。

もう1つは、その園が行っている特別事業により補助金が出ます。
例えば、延長保育、一時保育、零歳児保育、病児・病後児保育、地域交流運動、実習生の受け入れなどがあります。
もちろん、こういった事業には職員の確保(看護師・栄養士を雇う、保育士を通常の配置基準とは別に雇う、など)や施設の広さ(児童一人あたり3.3㎡以上の有効面積の確保、特別保育室・隔離室を設ける、など)などのさまざまな規定をクリアしなければなりません。(特別事業についてはまた後日)
まぁ、ほとんどの事業が単独では運営困難なものが多いです。

運営についての問題

私立認可保育園の最大のデメリットでもあり、最大のメリットであること。
それは、運営者、つまり園長の運営能力に差があり過ぎることです。簡単に言えば、アタリとハズレの差があり過ぎることです。
園長先生は、基本的に保育士の人がなることが多いです。
しかし、保育士課程に運営知識や会計知識の勉強はありません。
園長になると決まった時点でそれらの知識を勉強し始めるのです。しかも、教える人が元保育士でやっぱり知識が乏しい場合には言わずもがな。
結果、会計士や社会保険労務士に援助を頼み、その費用を安く見積もっても年間300万円以上かかります。
現在園長の人は50〜60代のバブル前に就職した余裕のある世代が多かったりします。その頃の感覚のまま運営をしていると、今を生きている保護者や若い保育士との『ズレ』が様々な面で出てきます。
『ズレ』をそのままにしていたり、気づかなかったり、保護者のせいにしたりしていると、波及して『ハズレ』の保育園になるのです。(ぉ、うまいこと言ったw)


『園の特色』が出やすい分、アタリとハズレのが激しく、入園したあと『こんな園だったのか』と感じる方も多いでしょう。
そういう意味では、平均して大当たりも少なければハズレも少ない公立保育園の方が良いのかもしれません。
でも私は、お時間があるのであれば、園見学を通して自身の目で見極めることをお勧めします。公立私立問わず、良いものを自分で見分けてください。
ひとつアドバイスするとすると、園見学の申し込みの電話を入れたときに、集団で見学日を設けているなどを理由に断るような園はやめた方が良いと思います。集団で見学する日の保育は、確実に普段の保育内容とは違うものです。アポなしで行っても見学させてくれるようなところは、温かみがあってオススメです。


最後にちょっと自慢をひとつ。


今、私の園の園長は若く、30代半ばです。保育士から園長になったわけではなく、事務員から園長になりました。
大学時代に運営・経理知識を学び、社会福祉士の資格を持っています。
自身で運営・会計・法手続きが取れるので、上記に挙げた費用を丸々削減できています。そして、削減した分の経費で保育士を一人雇っています。
おかげで、公立ほどではないにしろ、保育体制に余裕があります。こういうのを企業努力と言うのだと思います。


さて、次回は Twitter でちょいとリクエストがありましたので『保育料の施設・法人による自由化』についてお話したいと思います。

でわでわ。